予想家戦国時代を迎えて


 この文章を書いている2006年1月9日現在、Yahoo!検索で「競馬」を検索したところ約43,800,000件ヒットしました。Blogも流行っていることを考えると、競馬関係のサイト・ブログ数は増えているように思われます。後々のために数字を取っておくと、livedoor検索でキーワード「競馬」でウェブページ検索をしたら268,800件、同じくブログ検索したら92,623件ありました。それから、人気blogランキングに812件、にほんブログ村競馬ブログに685件の競馬関係Blogが登録されています。メルマガでは「まぐまぐ!」の競馬カテゴリへの登録が793件ありました。

 私がホームページを立ち上げた2002年はサイトが盛んな頃でしたが、競馬関係サイトは生まれては消え、既に年単位で更新が滞っているサイトも多く見られました。しかし、最近は簡単に更新ができるブログが多く使われるようになり、ブログランキング等の活況は結構な規模になってきているように感じます。個人がブログを作ろうと思うとき、情報発信するための内容が必要ですが、ある程度競馬をしたことのある方にとって、情報更新の頻度が多く、また「予想」という独特のアイテムがある競馬は、その題材になりやすいのだと思います。

 ということで、ちょっとした予想家をネット上で探せば数百〜数千人も存在する時代になってきました。その中で注目されるには、他の予想家よりも光る予想技術を持つか、宣伝をするなどして他サイト、ブログ主より露出していくための努力をしなければなりません。例えば、ブログランキングで目立つ上位に行くためには、当然に他の予想家のブログのランクを落とさなければならないのが現実です。まさに予想家戦国時代の到来です。そして、この予想家の群雄割拠(競馬サイト及びブログ活況)とともに、"後出し的中馬券公開(自慢とも取られるのかな)や後出し講釈"とそれらに対する読者からの"誹謗中傷や嫌がらせ"等の問題が起こったりしています。

 競馬はマイナスサムゲームです。自分はもちろん勝ちたいし、同じ競馬という趣味を持つ自分の友達や知り合いにも勝ってもらいたいから、その分を全然自分と関係がない、どこかの知らない人に負けてほしいという思いは心のどこかにあるものです。そのどこかの知らない人は、今までは見知らぬ人で見えなかったものですが、最近はサイトやブログで自分とは縁のなかった人の競馬予想や賭けっぷりを容易に見られるようになりました。羨ましい程に儲けた馬券の写真に出会って溜息が出ることもあれば、万馬券を的中して調子に乗っているサイト等を見ることもあります。誇大広告ではないかと思われる文章、カネ儲けしか考えていないような有料サイト、有料予想を紹介するためだけに存在するメルマガも多くあり、そういう所がランキング上位に載っていたりします。

 こういうものに出会った時に、お金の取り合いやお客の取り合いによる嫉妬や僻みのためか、ネットの匿名性を利用した嫌がらせ(悪質な書き込み等)を行ってしまう人がいるのかなと想像します。しかし、それを不愉快と感じる方は、見に行かなければいいのです。悪徳業者には騙されないように注意すれば良いのです。エンターテイメント性に乏しいサイトや後出しでしか実績が作れないブログは読者の信用を失っていくはずです。実力がなければ、時間がその人を襲ってくれるのです。

 ディープインパクトにより競馬のメディアへの露出が多くなっている昨今です。彼の3冠達成は全国日刊紙の1面を飾り、有馬記念の後では一般の方からも「ディープインパクト負けちゃったね」とか「有馬記念は馬券取れたの?」等と声をかけてもらえるくらい話題性があるジャンルになっているところです。我々サイトやブログを運営されている情報発信側はより充実した情報や競馬に関するお話を伝えていくべきだと思いますし、一般の競馬ファンである受信側も、素敵なサイトやブログを励まし、育てていっていただきたいと思います。多くのサイトやブログが、他よりも面白い文章を書こうとか内容を充実させようと努力することで、競馬を取り囲む環境も良くなるのではないでしょうか。内乱に終わることなく、新規ファンを開拓する版図拡大のための戦国時代にしたいものです。

 ディープインパクトの作ってくれたこのチャンスに、楽しい競馬をもっと多くの方に知っていただけるよう、情報発信側と受信側双方の意識を刺激できればと思い、こんな文章を書きました。まだまだ競馬の認知度は低いですし、所謂「ギャンブル=悪」の思考回路を持っている方は多くいます。でも、今まで競馬を知らなかった方もたくさんいると思います。どうやったら馬券を買うことができるのかすら知らないような方もたくさんいると思います(今はインターネットで全国どこからでも買えますが、WINSがない地方にはそもそも競馬雑誌がなかったりします)。そういう方々に、どこかで興味を持っていただいた時に、自分のサイトだけでなく(というか無理なので)、皆さんが作られている競馬サイト・ブログの合成力でサポートできたらなぁと思うのです。

 ということで、ここで私が競馬に対して情熱を感じる、お気に入りのサイト・ブログ・文章などをご紹介したいと思います。競馬を盛り上げたいと思っている人を盛り上げれば、いろいろな企画が生まれて結果盛り上がる方向に動くと思っていますので微力ながらアクションしてみましょう。(ちなみに、この文章を発表する時点において、相互紹介を約束したものや、依頼を受けて紹介しているものは皆無です)

 まず『市丸博司のPC競馬ニュース』というサイトで連載されている谷川善久氏のコラム『枠内駐立不良につき』を紹介します。私は最近になって初めてこの方のコラムを読んだのですが、この方の文章を読まなかったら、この想論を出すことはなかったかもしれません。

あなたの競馬を"のこす"ということ
競馬を「コメントする」ということ(上)
それはいつか通ってきた道だから
ところで皆さん、当たってますか?
2005年はキャラの時代
競馬の人的構成要素(2)

 上にあげたコラム、私のようなサイト・ブログ主の方には響いてくるものがありませんか? この方のコラムは1999年から始まっていますが、"競馬を盛り上げるにはどうしたらいいのか"を基本スタンスに様々な案を書かれています。それが良い方法かどうかはわからないものもありますが、自分も考えてみるということにつながるので、読んだことのない方は是非目を通していただければと思います。今後とも応援しています。

 続いて紹介するのは、『Blog@MilkyHorse.com競馬ブログ・ポータル(もどき)』です。こちらは私のようなサイト・ブログ運営者主体となっている情報発信基地ですね。今ではいくつか見られるようになった競馬ブログのトラックバックセンターですが、そもそもの発端はnonnnonnさんが自身のブログ『nonnnonnnohibi』で競馬ポータルを作ったらどうかと呼びかけ、ニシムラヨシトモさんが自身のブログ『readkeiba.blog』において取り上げ、MilkyHorse.comさんが作ったことが始まりのようです。
↓経緯がわかるあたり。
(http://blog.drecom.jp/nonnnonn/archive/149)
(http://keiba.way-nifty.com/read/2004/03/post_36.html)
(http://keiba.way-nifty.com/read/2004/03/blog.html)

 サイト・ブログ閲覧者の方はここに行けば今の最新競馬情報がわかるので便利だと思います。よく見かける(大きな)サイトやブログの方も集まっているように思いますし、良い拠点になっているのではないでしょうか。しかし、よく見てみたらポータル作成話は2年近くも前のことで、全然俺ついていけてないですね(汗)今後はもう少しちゃんと読める文章をブログ等でお送りできるよう頑張りたいと思います。

 同じくトラックバックセンターとして『トラセン』も紹介しておきます。並びに、こちらで企画された「トラセン突発企画「2005年上半期を振り返る」」(テーマ「2005年上半期を振り返る」にて募集した記事を、トラセンの運営者(造園課員)が目を通し、多くの方に読んで貰いたいという記事に賞を与え、後日発表するとした企画)で表彰された方々のブログは、読み物系の中でも充実度の高いものばかりなので一度訪問していただきたいと思います。また、このような企画によってより良い読み物が生み出されていくと思いますので、トラセン運営者様には定期的な継続(年に1回でも)を期待したいところです。
選考結果発表(http://tbce.org/special/result.htm)

あさってに向かって◎を打て!
もちろんコラムも読みごたえがありますが、元旧データアーティストの私としてはレース及び路線図の掲載された『あさ◎競馬データベース』(しかも、海外まで網羅されています)が素晴らしいと思いました。

名牝達の後宮SAGA
牝系についてはこちらのブログを見れば通になれるんじゃないかと思えるほど情報を特化しています。私がやるなら「若駒戦」? 
「海外掲示板でのシーザリオへの反応」のエントリーが面白いので紹介します。

馬券日記オケラセラ
言わずと知れた超有名サイトの日記部分を独立させてできたブログです。毎度チェックさせていただいていますが、地方競馬や競馬情報隅々まで何でも語れる博識な方だと思います。今年は本サイトで100万ヒットを達成、ALLAboutからスーパーおすすめサイト2005に選ばれ、大賞にノミネートもされました。並んで選出されたのが競馬道OnLineとnetkeiba.comですから快挙ですが、それだけの実力が認められてのことです。ブログウォッチというメルマガを手がけられたことがあり、利用価値大だったのですが、なくなってしまったのかな。

NO GUTS,NO GLORY.(競馬で幸せになろう!毎日競馬ネタ更新)
タイトルにあるように毎日更新されています。文章量もあり、競馬への情熱も感じられます。個人的には私もシンザン記念を当てたので気になる予想家と呼んでもらえるよう、もうちょっと更新努力しなきゃなあと思ったり(笑)

MilkyHorse.comの馬法学研究会
私のポータルを踏み台に、と控えめな方ですが、MilkyHorse.com概要を読めばこれまでのネット競馬界への貢献は相当のものでしょう。馬産地の話もこれから少し注目させていただこうと思います。札幌競馬場移転(屋内競馬場!?)の話も初耳。

Sakura Archives
シンプルな構図の中でメインレースの予想と回顧をしっかりされているブログ。ハンデレースの分析をされていますが、実績上のハンデはどのように算出されているのでしょうか?

大阪大学競馬推進委員会
年末に書かれている香港G1の展望やJCに来日する外国馬についての詳しくも読みやすい説明は海外情報に疎い私も含めた競馬ファンには貴重な情報。アルカセットも評価されていますしね。今年は事前にチェックしたいです。

REVERY_L_ELEKTRA: AnotherSide
見た目アルファベットが多くかなりマニアックな感じがしますが、海外のレース情報や種牡馬の衰勢などを知ることができます。血統も深そうです。

 先ほどのトラセンの紹介文で「読み物系」という分けを敢えてしましたが、こうして紹介しながら周り(リンクや交流)を見ていると、競馬に関する時事ネタを中心に書いているところ(読み物系)と、レース展望や予想を中心に書いているところ(予想系)はブログ運営者間のつながりや読者層がちょっと違うのではないかという印象を受けました。私のメルマガを購読されている方、以上で紹介したサイトやブログを全て知っていましたでしょうか? 私は予想系のほうに入ると思うので、自分がなかなかできない読み物系のほうを高く評価してしまいそうな予感がしますが、競馬の楽しみにはギャンブル面(儲かりたい)というのがあると思いますので、予想系からもいくつかご紹介しておきます。予想系サイト・ブログにあまり縁がなくて、何らかのきっかけでこのレポートを読んでいる方には参考になると思います。

 まずは、勝ち組さんの発行するメルマガ『勝ち組の勝利指針』から。以前はホームページが今ほど整っておらず、本当に優良の予想サイト(メルマガ)なんだろうかと思ってしまう作りだったのですが(笑)、リニューアルされてメルマガの雰囲気に合うものになったと思います。無料の範囲でも1レースの予想公開をされており、充実した内容のメルマガだと思います。推奨した馬券種のどれかで当たれば的中というのは若干引っかかるところはありますが、それも含めて、この方は有料予想の公開(もちろん事後更新ですが)や年度毎の成績の計算もされていて実績はクリーン。それでしっかりプラス計上されていることは実力を感じられるところです。まずはメルマガの無料購読をおすすめします。

 勝ち組の勝利指針と私のメルマガは、以前に『馬券 「良質」 マテリアル研究所☆』という企画系ブログ(流氏と友人2名が競馬ジャンルに登録されているメルマガを読みまくって厳選の10メルマガを集めたとされる)で紹介されたのですが、そこに掲載されている他のメルマガも内容の濃いものが揃っています。特に、秋の超厳選(4メルマガ)で残った他の2誌も強力な個性を持たれているメルマガなので紹介しておきます。
『馬界のエナジールール(VCカラノテガミ)』(YOJIさん)
『シービスケット〜競馬を支える馬産地からの手紙〜』(SYUさん)

 マテ研に掲載されなかったメルマガでは、おそらくバックナンバーを全て公開されていないため選出されなかったと思われる内田氏の『厳選の精緻馬券』(こちらもかなりの読者を抱える実力派)がおすすめです。

 これらのメルマガのほとんどは有料予想をされているところですが、私はそれだけの実力がある方々と見ています。有料予想というとそれだけで嫌悪感を覚える方もいるかもしれません(私も昔はそういう部分がなきにしもあらずでした)が、年間収支をプラスにもって行く競馬予想には必要な技術が存在します。苦心して磨き上げた技術を披露することにお金を取ることは変なことではありませんし、見る側も技術を学びたければお金を払うくらいの意気込みは必要だと思います(今のところ全て無料で情報提供している私がそこまで言う必要はないかもしれませんが)。もちろん、会費目当ての悪徳業者は存在するでしょうから、しっかりと見定めてから入門してください。少なくとも上記にあげたところは悪徳ではないと思いますので、注目してみてください。

 大手ばかりとなってしまいましたが、今回の紹介は以上と致します。当初の予定では最近流行のブログランキングも網羅しようと思っていたのですがさすがに時間的に厳しかったです(どこかやってくれる所が現れなければ、そのうち試みたいです)。今回掲載できなかったサイトやブログで面白いところや自己アピールされたい方がいらっしゃればご連絡ください。良いと思ったものについては、またレポートを書く機会に掲載させていただきます。

                            (初稿2006.01.14、最終更新2007.06.13)