ローテーションの考察


 最近ではステップレースを使わず、馬の疲労を考えて目標GIレースに直行する馬も多くなりました。しかし、データ予想をやっている私は、ローテーションはかなり重要だと考えています。使うレース、条件、距離、そこでの位置取り、それぞれが次のレースに程度に差はあれ確実に影響を与えています。

 昔、武豊が「ダービーを取るローテーションがある」ようなことを言っていました。そしてスペシャルウィークでそれを実践して見事に戴冠しているように感じます。
 ダービーで言うとそれは、
A.府中の重賞共同通信杯、または世代の精鋭が集う弥生賞で勝利
B.皐月賞は差し〜追い込み(道中7番手以降から進出:3角まくりでも可)で3着以内
 ではないかと思われます。(なかちゃん調べ)

 上記ローテーション+内容を満たしてダービーに出走してきた馬は過去32年で、
01ジャングルポケット1着
99ナリタトップロード2着
98スペシャルウィーク1着
94ナリタブライアン 1着
90メジロライアン  2着
83ミスターシービー 1着
78サクラショウリ  1着
76テンポイント   7着<レース中骨折>
70タニノムーティエ 1着
 で、故障テンポイントを除けば(6.2.0.0.0.0)です。

 ライアンはアイネスフウジン(共同通信杯勝ち+逃げて皐月2着)の逃げに屈したが追込み勢の中では先着。トップロードも豊の天才的騎乗にやられただけで、オペラオーを差したのだから普通なら勝てるレースでした。これこそダービーを勝つローテーションと銘打っていいでしょう。
 豊はスペシャルウィークでこれを実践しました。
 皐月賞の敗戦の理由について、レース後豊は「馬場差」を強調していました。しかし、スカイファンの私から言わせれば、グリーンベルトが出来ているのはレース前からわかっていたことで、荒れた外を走りたくなければある程度先行するという選択肢があったはずです。(以後のスペシャルを見れば先行できない馬ではない)豊はわかっていながら自ら後方待機し、荒れた外を回すという道を選びました。
 「外の馬場が荒れていたから」
 確かに外の馬場が悪くなければ後方からまくって勝つことができたかもしれません。しかしよく読むと、後方からまくってという条件は彼にとって確定要素だからこその敗戦の弁なのです。

 武豊は皐月賞を捨ててダービーを獲った。私はそう見ます。

 なお、アイネスフウジンのように共同通信杯か弥生賞を勝って皐月賞を先行で3着以内した馬もかなり成績は優秀です。しかし着外に敗れた馬も数頭いて完璧なダービーを獲るローテとは言えないので除外しました。出走してくれば無視できません。ダービーのデータアートで書いた皐月賞追込みのパターンだけでもダービー好走につながったりします。ローテーションを甘く見てはいけません。

 逆に出世ローテーションから踏み外してしまった馬は、主要レースで活躍できなくなります。
 ナリタキングオー(1995クラシック世代)を例にあげてみましょう。
 この馬は3歳の春、持ち前のスピードで共同通信杯とスプリングSを勝ち、勇躍皐月賞へ名乗りを上げました。私の2001までのデータでもジェニュインと並んでの本命馬になります。しかし、キングオーは右肩ハ行で皐月賞を取り消し、それからダービーへ直行しました。4番人気と競馬ファンは連対率100%の同馬の底力に期待しましたが、結果は11着。惨敗でした。逃げに近い先行馬であり、ダービーは難しいと見るのも定石ですが、皐月賞を使えなかっただけで同期に置いていかれたような走りになってしまいました。
 その後、秋初戦神戸新聞杯を10着し、終わった馬かと思えば、京都新聞杯ではマヤノトップガンを押さえ勝利します。能力がない馬ではないのです。その復活により菊花賞では2番人気に推されましたが、7着とまた振るいません。チグハグです。
 そしてGIIで入着を繰り返したあと、GI二桁着順の常連になり、合間に大阪城OP勝利を残して、競走生活を終えました。単なる早熟馬と見ることもできますが、皐月賞を好走できたはずの同馬の落日ぶりを見るに、私はその取り消しを思い出します。ダービー最重要トライヤル皐月賞を回避したことが、彼の集中力を失わせたように感じます。
 過去の徒然日記に書いたことがありますが、最近ではモノポライザーなんかがこれに近く、いくら小さなレースで強い勝ち方をしても、大きなレースでは割引としていました。オースミコスモとかもそんな感じです。

 目標レースに合ったローテーションとその乗り方を選択していくことで、その道を自ら切り開くことができるわけです。GIへの扉を切り開くローテについてもう少し語りましょう。

 例えば秋の場合、それまでにGIIを勝っておいて別定GIIの負担斤量58キロ(3歳・牝馬それぞれ−2キロ)以上になる場合に、毎日王冠に挑戦して勝つこと。

☆データに当てはまった馬とその後の秋成績(昭和59年以降)
84カツラギエース  (天皇賞秋D、JC@、有馬記念A)
86サクラユタカオー (天皇賞秋@、JCE、有馬記念E)
88オグリキャップ  (天皇賞秋A、JCB、有馬記念@)
89オグリキャップ  (天皇賞秋A、マイルCS@、JCA、有馬記念D)
92ダイタクヘリオス (天皇賞秋G、マイルCS@、スプリンターズSC、有馬記念K)
93シンコウラブリイ (スワンS@、マイルCS@)
94ネーハイシーザー (天皇賞秋@、有馬記念H)
97バブルガムフェロー(天皇賞秋A、JCB)
98サイレンススズカ (天皇賞秋競走中止)
99グラスワンダー  (有馬記念@)
01エイシンプレストン(マイルCSA、香港マイル@)
03バランスオブゲーム(マイルCSC)←翌春安田記念B

 カツラギエースは日本馬初のJC馬に、オグリキャップは3歳ながら古馬王道を真正面に戦える馬に、ネーハイシーザーはここから念願のGIVを、いまいちが長かったエイシンプレストンもようやくGI2勝目。それぞれの馬がその秋に大舞台で活躍している。
 もちろん重い斤量で勝つからには能力が必要なのだからローテ云々で言う話ではないかもしれないが、馬はレースで競馬を覚えていく部分もかなりあるので、スピードと持続力がかなり試される毎日王冠を走破(記憶)することによって、その後のGIで通用する能力を引き出されると思ってもいいでしょう。次のデータを紹介します。

 もし負担斤量58キロ以上で毎日王冠に挑戦し、残念ながら破れてしまった馬も掲示板程度であればその秋GIVの可能性はまだ消えていないのだ。

☆重い負担斤量で毎日王冠を負けた馬の中で、その後GIを好走した馬(昭和59年以降)
84ミスターシービー 2着(天皇賞秋@、JCI、有馬記念B)
85ニホンピロウイナー4着(天皇賞秋B、マイルCS@)
86ミホシンザン   3着(天皇賞秋B、JCB、有馬記念B)
87ニッポーテイオー 3着(天皇賞秋@、マイルCS@)
89イナリワン    2着(天皇賞秋E、JCJ、有馬記念@)
90バンブーメモリー 5着(天皇賞秋B、マイルCSA)
91ダイタクヘリオス 2着(スワンSH、マイルCS@、有馬記念D)
92ナイスネイチャ  3着(天皇賞秋C、マイルCSB、有馬記念B)
93ヤマニンゼファー 6着(天皇賞秋@、スプリンターズSA)
94サクラバクシンオー4着(スワンS@、マイルCSA、スプリンターズS@)
95サクラチトセオー 4着(天皇賞秋@、有馬記念B)
95ジェニュイン   6着(天皇賞秋A、有馬記念I)
96バブルガムフェロー3着(天皇賞秋@、JCL)
98エルコンドルパサー2着(JC@)
02エイシンプレストン2着(天皇賞秋G、マイルCSA、香港CD)
02サンライズペガサス4着(天皇賞秋B)
03テンザンセイザ  5着(天皇賞秋B)
03ファインモーション7着(マイルCSA)

 ということで、最近ちょっとメンバーが手薄になってきたが、まだまだ東からの秋GI出発点としての地位は高いところにある。力を認めてくれ、力を与えてくれるGII毎日王冠に挑戦して損はない。(もっと盛り上げてくれ、との私の思いも込めて)

 ちなみに、京都大賞典も格は高いほうですが、王冠ほど秋GIへの登竜門的な関連は見られません。
 (菊花賞、天皇賞春勝利からの延長線上でくる馬には王道と言える)

☆重い負担斤量で京都大賞典を走った馬の中で、その後GIを好走した馬(昭和59年以降)
89スーパークリーク 1着(天皇賞秋@、JCC、有馬記念A)
91メジロマックイーン1着(天皇賞秋Q、JCC、有馬記念A)
92メジロパーマー  9着(天皇賞秋P、有馬記念@)
93レガシーワールド 2着(JC@、有馬記念D)
95ヒシアマゾン   1着(JCA、有馬記念D)
98セイウンスカイ  1着(菊花賞@、有馬記念C)
99スペシャルウィーク7着(天皇賞秋@、JC@、有馬記念A)
00テイエムオペラオー1着(天皇賞秋@、JC@、有馬記念@)
01テイエムオペラオー1着(天皇賞秋A、JCA、有馬記念D)
01ステイゴールド  失格(天皇賞秋F、JCC、香港ヴァーズ@)
01ナリタトップロード中止(JCB、有馬記念I)
02ナリタトップロード1着(天皇賞秋A、JCI、有馬記念C)
03タップダンスシチー1着(JC@、有馬記念G)

 どうでしょう?
 すでにGIを勝っているまたはGIIを勝っていて、それが菊花賞や天皇賞春などステイヤー気質を感じさせるレースでなければ、毎日王冠を使うほうが実績がよいのです。(ただよく見ると、JCは京都大賞典のほうが関連性が高い)これで目標が天皇賞秋、マイルCS、有馬記念の馬は毎日王冠からで、JCの馬は京都大賞典からというローテーションをとればよいことが導けます。JCは強豪揃いなのでとりあえず毎日王冠を走っとけと私は勧めますが(笑)

 さらに、オールカマーからで実績を残した馬ももちろんいます。
96サクラローレル  1着(天皇賞秋B、有馬記念@)
96マヤノトップガン 4着(天皇賞秋A、有馬記念F)
00メイショウドトウ 1着(天皇賞秋A、JCA、有馬記念A)
などがあげられます。
 しかしこれらは例外で、毎年好走できずに終わる馬が多いのでお勧めはできません。GIIの格が欲しい馬が挑戦し、毎日王冠データへのステップとして使うのがいいのではないでしょうか。その場合JCは回避でオールカマー→毎日王冠→天皇賞秋→有馬記念となります。

 こんな風に、ローテーションを選ぶにもいろいろ考えることができます。目標レースから逆算してローテーションを構築していくことで、馬をその目標レースに適応した状態に持っていけると私は考えます。


 1996年にこんなこともありました。
 前走3200mの天皇賞春を2着したナリタブライアンが突如1200mの高松宮杯(当時5月)を使うことになったのです。大げさに言えば、マラソンを走ってた選手が、次は100m走でメダルに挑戦するようなもんでした。確かにブライアンは故障後もなおトップクラスの能力馬ですが、今回はどうかと誰もが興味津々だったと思います。
 そのレース。ナリタブライアンはペースを把握できず道中は最後方を追走し、最後追い込んで4着に食い込みました。(この結果については、批判よりも賞賛の声が多い)

  そしてレース後武豊が残したコメント↓

 「(ブライアンは)終始戸惑っていた」

 「当たり前だ!」と直感的に思うわけです。

 競走馬はレースを覚えています。だから、ローテーションが重要なんです。


(2002年1月18日筆、2004年7月19日最終更新)

 
  ●表紙に戻る

  ●無料レポート紹介