若駒戦大戦譜 〜スカイポットの鉄火馬券


 基本的に競馬は本命馬券をたくさん買うよりも穴馬券を買ったほうがローリスクハイリターンを望めます。穴馬券を取れないと競馬で勝つのは難しいと思って良いです。だから、私は通常ガチだと思っても本命馬券に大金を賭けることはありませんが、それでも勝負すべきと判断できるレースのみ、通称「漢馬券」(オトコバケン)という1点10万円の高額馬券を購入しています。
 現在は、@1R20万円まで、A1点10万円まで、B発走前30分以内の購入時に1.4倍以上オッズがついている(2017年11月に1.8倍から変更)、という3つの制限をかけています。

 その上で私が勝負したレースは1年〜数年に1回あるかというところですが、あります。まあこれくらいなら妙味もあるかと購入しているものですが、ひとつの歴史として1点10万円の上限を使い切って購入したレースを振り返っておきます。

 その馬券を自分が買っている気になってVTR(レーシングビュアー)をご覧いただけると面白いかと思います^^


★第一戦 2007.9.22 未勝利戦 結果 レーシングビュアー 
8エイムアットビップ 単勝180円


 前に行けるスピードがあり、直線でも末脚を使える馬の1400m→1200m。指数もメンバー中突き抜けて良かったので自信を持って勝負できました。今思えば、前走のサマーエタニティが勝った未勝利戦はやや重馬場のため指数固定できないのでそのリスクを含む勝負でしたが、前走の指数のままレコードで楽勝してくれました。

 有り余るスピードで抑えきれずハナに立ち、直線の残り200mで伸びあぐねる後続に4,5馬身差をつけたのを確認して余裕のガッツポーズが出ましたね。

 エイムアットビップはその後、りんどう賞を1番人気1着、ファンタジーSを1番人気2着、阪神JFを2番人気3着と2歳牝馬の重賞戦線のトップランナーとして活躍しましたが、そんな馬の未勝利戦の馬券オッズが単勝1.8倍もついていたのだから妙味は大きいですよね。



エイムアットビップに勝っていたサマーエタニティとはまた別のストーリーがありましたね。


★第二戦 2008.10.18 未勝利戦 結果 レーシングビュアー
11ツーデイズノーチス→12マイネアリス→6ファイナルラップ 3480円 単勝170円



 馬券を購入したレース20分前頃は単勝2.3倍もついていたのに、徐々に下がりラスト数分で急降下してしまいました。ツーデイズノーチスは父がヘクタープロテクターと地味な血統なので人気しにくいと思っていたのですが、やはり最近は能力を読める人が増えてきたということでしょう。

 レースは前走同様後方からの競馬となりましたが、4角で少しずつ上がっていき直線に入っても持ったままで先頭集団へ近づいていきます。鞍上の松岡騎手は残り200mを切ってまだ先頭に立てていないのに、余程の自信があったのでしょう、最後まで馬を追わないで勝ち切りました。相手関係からすれば当たり前の楽勝なんですが、見ているほうは心臓に悪いです(苦笑)

 この馬は前走のメンバーレベルが高かったからロスを考慮してオープンクラスで好走できる馬と見ていまして、後方からの競馬で不利を受けても直線の長い東京コースなら故障しない限り巻き返しできると考えて自信の単勝勝負をしました。

 前走の未勝利戦をご覧いただけば末脚能力に優れた馬であるとわかるはずで、追わずに勝ったのは本当の楽勝でしたね。ツーデイズノーチスはこの後、休み明けでアネモネSを勝利。桜花賞、オークスに出走することができました。



後方からの差し馬で、最後まで馬を追わない騎乗はなかなか見られるものではありません。


★第三戦 2013.9.29 未勝利戦 結果 レーシングビュアー
6ワンアンドオンリー→12スピナッチ→13シンガン 13790円 馬単2770円 単勝300円




 前回から約5年。毎年、大勝負ができるレース機会を窺いながら、条件が揃うレースがなかったため、これだけ待つこととなりました。それでも今回は、指数理論上は勝負ができるものの、本命馬の末脚が持続系であることと、騎手が若手であることが気になりました。オッズは前夜に1.3倍くらいからスタートしましたが、その後は上昇して、当日朝にはキャリア1戦(3着)のシンガンに1番人気を譲り、締切5分前頃に私が馬券を購入しても、ワンアンドオンリーの単勝は3.1倍から3.0倍にしか変動せず、前回のような締切直前のオッズ低下もありませんでした。

 ワンアンドオンリーはスタートに成功し、楽な形で中団に下げて追走しましたが、スローペースになり馬群が固まったまま直線に入り、囲まれて前が空かない状況となりました。持続系の不器用さから当初の懸念が発現しましたが、残り200mを切った所でようやく前が空き、差し脚を伸ばします。安心できたのは坂上でしょうか。一旦スピードに乗ってしまえば、そうそう止まる馬でありません。

 結果的には持ち指数を5程度下げる内容でした。今回のように、力のある馬に対してはマークが厳しくなります。競馬は能力通りの結果にならない方向に力が働くことが往々にしてありますので、大勝負をする時には注意をしなければなりません。一方、リスクを懸念しているだけでは大きな果実を得ることもできませんので、そのバランスを十分に検討し、結論を出さなければなりません。

 今後も、予想理論上を踏まえ考えた末に大勝負を避けられない場面では、逃げずに向かう勇気を持っていきたいと思います。正直、勝っても凄い疲弊します^^;

 追記として、ワンアンドオンリーはその後、クラシック登竜門と言われるラジオNIKKEI杯2歳Sを勝利、弥生賞、皐月賞とクラシック路線の王道を歩み、日本ダービーを優勝しました。久々の漢馬券勝負をした馬が世代の頂点に立つという僥倖に巡り合うことができ、第十期を美しく締めくくることができました。



直線に入ってからも囲まれてもがくワンアンドオンリーと国分優作騎手(右赤帽)。指数を5も落とした(ざっと3馬身半は違う)危険な騎乗で、肝を冷やしました。絶対はないというのも事実。


★第四戦 2016.8.27 ひまわり賞
結果 レーシングビュアー
11カシノマスト・6テイエムヒッタマゲ◆13テイエムソッキュウ ワイド190円


 3年ぶりとなる漢馬券です。今回は、メンバー中の3頭が指数56以上であり、4位馬の指数が45で、6馬身半以上の力差があると考えられたこと、普通のレースでは割り切って消去しなければならない未知のリスク馬がゼロという条件が揃ったから、3頭の馬券で勝負をすることとなりました。

 当初は3強の3連複1点を想定していましたが、購入直前に3連複が2.0倍まで下がり、一方で1番人気(指数1位)馬を除く2頭のワイドが1.9倍〜3.1倍くらいついていたので、ほとんどオッズが同じであれば、1頭でもリスクを削れたほうが良いと考え、ワイドのほうに変更。今回、単勝での勝負ではありませんでしたが、例えば3連複であれば、どんなに力が抜けていたとしても、3頭がまともに走らなければ的中できないので、それだけリスクは高まります。結果的には1番人気馬が楽勝したので馬券の美しさは落ちましたが、最後までリスク・コントロールを諦めなかったのは悪くなかったと思います。

 3強の指数は極端に離れていなかったものの、フェニックス賞はハイペースの負荷が大きかったようで、4角では明暗が分かれました。カシノマストは手応え楽に直線を迎え、馬場の良い外目に持ち出すと後続を突き放し7馬身差の圧勝に。逃げて最内を走らされたテイエムヒッタマゲは直線後半で失速。3番手にいたテイエムソッキュウは勝ちに動こうと残り400m手前から全力で追われるも手応えは悪く直線入り口では逆に離されてしまいます。そこに内を掬ってヤエノセンリが追撃をします。普通なら完全に大失速となるところですが、相手が弱かったです。最後に踏ん張って末脚を伸ばして、4着に3馬身つけて3着を確保してくれました。

 ピンチなシーンもありましたが、過去の漢馬券よりはドキドキしなかったですね。負けたら仕方がないとよく割り切れた馬券だったのかもしれません。



4角で既に全力追いをするも伸びを欠き後続に詰め寄られるテイエムソッキュウ(和田騎手)。内から迫るヤエノセンリ。勝負にこだわるとパフォーマンスが落ちる典型例であるが、相手が流石に弱かった。


★第五戦 2017.11.19 未勝利戦 結果 レーシングビュアー
12テトラドラクマ→2ジョブックコメン→14シルフィウム 3040円 馬単510円 単勝130円




なかなか割の良い銀行レースを見つけるのが難しくなってきた最近ですが、ここはテトラドラクマの勝機が濃厚とみられ、新馬戦で惨敗していた馬のため人気も1本被りにならないと考えていたところ当日の朝になっても単勝が1倍台前半。迷いましたが、漢馬券は私の的中の見込みが95%以上というくらいのレベルなので、ルールを改変して1.4倍でも買えるようにしました。



レースはスムーズに先行でき、直線も手応え良く後続を突き放す、安心して見ていられる内容でした。