これまでのあゆみ・展望台編〜設計〜(2005-2007)


 
前回のあゆみのとおり、私は2004年の夏にPCを買い替えたタイミングでデータだけによる予想を諦め、データアートを閉館しました。直後の9月からはアナログによる能力の物差し「天星指数」を使用した予想をまぐまぐの無料メルマガで配信するようになりました。メルマガ予想の土俵は2歳戦から3歳クラシック(ダービーまで)という期間に限定し、全てのレースを見てコメントを書く、以前自分が“正統派”と呼んだ形の予想を行っています。データアートはG1しか作ってきてこなかったことから、当初目指したデータアートと調和した予想というのも皐月賞やダービー等だけでほとんどなく、以降の道のりはとにかくアナログでどのように精緻な予想ができるかを追究してきたところです。2007年末現在の私は、本当にデータ予想家ではなくなっていますね(苦笑)。改めて考えてみると、支柱を捨てて新しい柱を作ったのですから、大きな転換期だったと言えるでしょう。

 しかしながら、データ作成に情熱を燃やし、歩んできた美術館編以前の時間が無駄だったとは考えません。巷の競馬雑誌や新聞には簡易なデータ情報が掲載されていますが、そういう「データ」が「ジンクス」ではないか、どこまでが使えるかどうかの感覚は今でも安易な思考回路に陥らないために重要だと思っています。「データ予想で美を創れる」ということには多少なりとも自信があり、データを極めて条件や展開の重要性が発見できたのも、データアートの成熟度が高かったことを証明していると思います。ただ、精度を上げるにはアナログを用いなければならなくなり、予想の美を精度に求める私がこの道を辿るのは当然の成り行きでした。このホームページには、私がデータ予想家だった頃の文章がたくさん残っていますが、現在は正統派(馬やレースを見て力や特徴や条件を見ていく)予想家ですのでご理解の上ご覧ください。まだまだこの道は続いていて、変化しながら歩みを進めています。

 ディープインパクトが無敗の三冠馬となった2005年のメルマガ予想第一期は、3連単が発売された直後であり、その買い方が研究されていなかったからか3連単での的中がとても効率良い収入となりまして、この第一期の予想期には、メルマガ予想が9週連続3連単的中、若駒G1(阪神JF、朝日杯、桜花賞、皐月賞、NHKマイルC、オークス、ダービー)7つで5的中、的中率50%超、回収率170%超という好実績を残すことができました。この結果で競馬は難しくないと調子に乗った私でしたが、続く第二期、第三期で苦戦を強いられ(それでも的中率約50%、回収率約100%)、競馬は甘くないし、第一期の大勝が沢山のラッキーに支えられていたことを痛感しました。

 この期間にはホームページの更新よりもメルマガに力を注いできたことから、ホームページのアクセスはそれほど上がりませんでしたが、メルマガは2000部を超えるところまでに成長することができました。また、無料レポートを2006.1(指数公開)、2006.4(皐月賞予想)、2006.5(ダービー予想)、2006.9(第二期反省)、2007.1(指数公開)、2007.4(皐月賞予想)、2007.5(ダービー予想)、2007.9(予想法公開理念編)と8つ書いています。最近1年間はブログをワックスムーン氏に更新して貰いまして、それぞれの媒体でできる更新を続けてきました。皐月賞とダービーの予想レポートはワックスムーン氏との合作で、独自の馬柱も作りました。

 しかし、仕事が忙しくなるにつれ、平日深夜に帰ってから指数算出を進め(大体12時〜1時に帰って2時〜3時まで2時間)、金曜土曜の夜はメルマガの執筆で4時までは普通に起きている生活を続けてきて、プライベートの時間も切り詰めて競馬をすることに対し様々な疑問を抱いてきています。今後の人生を考えると、競馬予想を公開することを辞めるか、思い切って競馬予想を仕事にしてしまうか、いずれ選ばなければならないと考えています。どちらにしても後悔しないように、今は予想をどこまでできそうか試しているという状況です。

 私は常々、競馬予想を芸術にすることが目的と言ってきました。競馬は当てることさえ難しいので人の予想にお金を払う価値が生まれるわけがないという方もいるでしょうが、私がこれまでやってきた実感としては、競馬予想には技術介入余地があると確信しています。今までの言葉を用いれば「競馬は全く偶然のギャンブルではない」ということです。予想には技術が存在し、それを深めていく中で更なる付加価値を与えられるなら、これは芸術と呼べるものになれるはずです。他のところでも書きましたが、世の中の芸術・スポーツ・お稽古事にはその道で生活をする先生がいます。競馬予想に技術が存在するなら、予想の先生がいても良いのではないでしょうか。競馬予想の世界は誰でも参入できまして、ギャンブルで成功すれば初期投資がいくらになっても大丈夫なように錯覚してしまいやすいこと、インターネットの普及でうまく宣伝すれば簡単に収入が得られ、逃げるのも容易いことから、悪徳的な予想会社等が多く存在するので、そういうところに騙されたり、騙された話を聞くことで、競馬予想で対価を貰うことに対して悪いイメージを持つ人は少なくありません。しかし、それで対価を得て表す予想が全て否定されるべきではなく、この価値は再構築しなければならないと思っています。そして、競馬予想を芸術にするには、競馬及び競馬ファンの社会的地位向上の助けがなければなりませんから、そちらの活動もできることはしていくつもりです。実際に競馬場で芝生にレジャーシートを敷いてごろごろすれば、先入観は取り除けると思っています。

 目的が上記の通りなので単なる予想屋になるレベルでは競馬予想を仕事にする気にはなれないです。もう一段上に上がれるかどうか、競馬予想が本当に芸術になるかどうか、よく考えたいと思っています。

 2006年は友人の提案により、凱旋門賞をフランスで現地観戦してきました(その時の話は●企画 にコーナーを設けて書いています)。2007年2月のディープインパクト撮影会にも参加し、日本競馬史上でも最強馬の1頭と謳われるであろう名馬となったディープインパクトは私にとってもかけがえのない経験をさせてくれた馬となりました。

 2007年はネットの中からネットの外に出て行った1年でもありました。このあたりの話はメルマガに書いたのでこちらに転載しておきます。

◆内から外へ 何かが動きはじめている?【2007/12/25 Vol.355】

 2002年1月から馬流天星を運営して丸6年の歳月が過ぎようとしています。私は昨年まで、ネットの活動は完全にリアルな人間関係とは切り離して行っていました。しかし、昨年の凱旋門賞を一人でツアーに参加した時に、同じく一人で参加された方が意外に多く、そこでいろいろお話することで好きな競馬という共通点があるというだけですぐに友達にもなれるし、楽しい時間を過ごすことができることを知ることができ、本来は凱旋門賞でお会いするはずだった「勝ち組の勝利指針」を運営されている勝ち組さんと、今年のNHKマイルC
でお会いし、初めてネットで知り合った方と実際にお会いして話をすることとなりました。勝ち組さんもネットで知り合った人と会うのは初めてだったそうですが、お互いに有意義な時間を共有することができたと思います。

 また、今年の4月に発行した皐月賞予想の無料レポートを「競馬パーク」というサイトを運営されているたまバスさんからネットラジオ「うまジオ」でご紹介頂いたことをきっかけに、「ほぼ日刊競馬パーク」というメルマガに木曜担当として寄稿するようになりました。実際にたまバスさんともお会いし、お酒を飲みながら競馬談義やこれからの活動のこと等を話しました。

 「うまジオ」は、ぶぎーさんとたまバスさんが予想をしていまして、皐月賞ではサンツェッペリンを、ダービーではアサクサキングスを推していらっしゃってお奨めの予想ツールです。ぶぎーさんはM単予想大会というところで優勝された実力のある方です。

 いつだったか、「うまジオ」でたまバスさんが対談というコーナーを設けて、第一回目のゲストに選んだ方が「ガラスの競馬場」を運営されている治郎丸さんでした。

 それより以前にも、ガラスの競馬場を訪問したことはありましたが、ちゃんと読み込んだことがなく、改めて読んだこのときは驚きました。競馬に関わる血統や人物、歴史背景などがしっかりと書かれていて(ルドルフおやじさんとの手紙のやりとりは、競馬通でもそう簡単に書けるものではないと思います)、また、しっかり競馬をやってこられたという深い部分も伝わってきます。競馬の写真家さんともお知り合いのようで、鮮やかな写真がブログを彩っています。

 その後、私もお会いしたいと思いまして、治郎丸氏主催の「馬券術ライブ」に参加することをきっかけに食事をご一緒させて頂いたり、有馬記念ではガラスの競馬場でつながったお仲間さんたちと競馬を楽しんで、飲み会も参加させて頂きました。あんな輪を作れるなんて、素晴らしい活動をされていますね。

 本当に刺激的な一年でした。競馬のことを自分の言葉でしっかり話せるようになってきたとも感じられ、私も馬券術ライブできるかな〜なんて思ってみたりして(笑)

 ネット外でも、昨年の凱旋門賞つながりで交流を深めることができている方々もいます。メンバーで集まると最近は4人くらいになってしまうのですが、その中心に凄い方がいて(故野平祐二氏と二人きりで話ができたような方です。その後、シンボリルドルフと和田オーナーと一緒に歩いたというのですから、話を聞くだけでうっとりしますよね(笑))、馬主席にも今年だけで2度も連れて行って頂きましたし、北海道のディープ撮影会にも参加することができました。大変感謝しています。今年の持ち馬がクラシックに乗れることをお祈りしています。そして、機会があればまた私たちを誘って頂きたいものです。

☆スペシャルピックアップ
「勝ち組の勝利指針」
「馬券の極め」
「競馬パーク」
「ほぼ日刊競馬パーク」
「うまジオ」
「ガラスの競馬場」

 2007年は初の乗馬体験もして、馬の暖かさに感動しました。今後はもっと上達したいですし、色々な面から競馬や馬文化に触れていきたいです。何でも突き詰めれば世界が開けると言いますが、私にとってはそれが競馬だったようです。

 今回のサブタイトルは、前回の無料レポート(予想法理念編)で公開した予想図が、この3年のアナログで私が辿り着いた予想設計図であり、そこまでは来れたということから「〜設計〜」としました。これからどんな理論を構築できるでしょうか。どこまで行けるのかわかりませんが、引き続き突き進んでいきますので今後ともよろしくお願いいたします。

●これまでのあゆみ・展望台編〜立志〜(2008-2010)