的中党(より誠実な情報発信者のスタンス)


 私の予想における基本理念は、過去に無料レポートや若駒ナビでも書いていますが、改めて焼き直しておきたいと思います。

@的中党(より誠実な情報発信者のスタンス)

 競馬で勝つには、「穴馬券を取らなければならない」と言われています。私も競馬を長くやってきている中、回収率を100%以上としたシーズンのほとんどは、10万馬券以上の大穴馬券を手にしていまして、何十回もの不的中を逆転できる穴馬券を取ることが勝つことへの近道であることは間違いないと感じています。

 ただし、この考え方は予想発信者にとっては馴染まない点があり、現在の私はこのベクトル上にはいません。自分が生活するお金を稼いでいるだけの馬券師の方や、ごく個人的に競馬を楽しまれる方のスタンスとしては正しいのですが、予想を発信する者にとっては、競馬ファンが作るオッズを予想の要とする方法はスタンスに主体性がなくなってしまうおそれがあるとともに、情報の公開が自身の馬券的利益と相反する関係になってしまいます。

 個人として穴馬券の理論を生み出し、その予想理論を公開しないのであれば、他の誰かが同じ理論に気が付かない限り半永久的に穴馬券を独り占めでき、馬券成績は安定すると期待できるため合理的です。しかし、昨今では個人もインターネットを通じ、自分の予想を公開できる機会が増えていますし、有料予想を配信している方は増えていると思われます。もし、「(競馬で勝つための方法であるとして)穴馬券を取ること」を目標として予想を公開する側の道を進んでいったとしたら、穴馬券を的中させるための画期的な予想理論を得たとしても、かつてのスピード指数がそうであったように、真似をして購入する信奉者が増えれば増えるほど、馬券のオッズは低くなり、終いには穴馬券でなくなっていくことになります。そうしたら、わざわざ穴馬券製造機であった理論が使えなくなり、新たな穴馬券を取るための理論を考えるか、穴になる馬券だけをタイミングを逃さず購入していくしかありません。

 「穴馬券を取ること」に焦点を当てている場合、予想の公開は穴馬券がより早く穴馬券でなくなってしまう行為となるため、自分の利益とのトレードオフが発生してしまうのです。そのため、有料予想を行っている者は会員から収益を得た上で、会員を限定して囲い込みを行ったり、予想の過程を出さなかったりしています。私も2005年(第二期)の頃には、そのような複雑な思いを抱いた経験がありますが、「本音と建前」的な状況は個人的に好ましくありません。

 また、穴馬券のみを狙うスタイルでは、的中率よりも回収率に主眼が行き、それゆえ、的中率を抑えた買い方を敢えて行うようになります。その結果、1つ外れても、2つ外れても…穴馬券が当たれば問題ないと考えるようになり、1つのレースの予想文が的を射ないことにも省みなくなると想像されます。予想提供者にとっては、たまに的中する大穴によって回収率がプラスで保たれたとしても、予想を見ている側がちょうどそのタイミングだけ馬券を買えなかったとしたら、かなり悔しい思いをするでしょう。コンスタントな的中は、予想を発信する側にとって大事なことだと思っています。

 そこで行き着いたのが、的中党というスタンスです。このスタンスは全てのレースにおいて的中を目指すというのが理想となります。ただし、全レース買うわけではなく、購入するのは各自が的中できて割も良いと把握されるレースのみです。競馬とはどのような予想ファクターがどのように結果に影響を与えるかということに真正面から向き合いながら、本命馬券も買える条件なら買いつつ、穴レースの的中も諦めておらず、回収率も当然プラスになるように考えていくスタイルです。

 私の持論として、予想に関する情報発信者はその予想においてできるだけ嘘をつかないようにしなければならないということがあります。強い馬を強いと言い、弱い馬を弱いと言う。適性についても同様。穴馬券だけを狙うタイプの予想は、穴馬について良いコメントをしてその穴馬が来れば、他の馬のコメントと結果が全く釣り合わなくとも結果オーライという印象のものが多く、メディアの情報も先週の回顧や反省などせずに次へ次へと流してしまっていて、予想業界全体を軽薄なイメージにしてしまっています。しっかりと各馬について、予想時にコメントしたことが結果として対応したものかについて忘却しないようにすべきと考えています。

 予想文はちゃんと書けば書くほど実力が問われる部分で、自分もまだまだ思い通りにはできていませんが、それをフラットな視点で行うには、オッズ情報は入れないほうが良いです。株の世界では、投資家の動きがそのままパフォーマンスの動きに繋がりますが、競馬はオッズが結果になるわけではありません。私の予想理論のひとつである展開分析において、人気馬の脚質を考慮していまして、オッズがレースに全く影響を与えないとは言いませんが、オッズにころころと左右される予想は筋が良くないと考えています。

的中党のスタンス
・穴馬券を取ることにこだわらず、フラットな視点で予想を行う(正統派予想)
・予想において嘘をつかないことを重視し、責任を持つ
・割に合えば馬券を買う(もちろん、穴馬券は歓迎)
・コンスタントな的中を良しとする
・時流によってスタンスが変わることがない

(PRET・H20.4.1)
※本記事はPRETの予想理論における「進歩的予想理論の五つのキーワード」の1つ目に掲げているものです
※近年は、十万馬券以上を的中せずともプラスを維持できるようになってきました
※的中党がベストの方向性なのかはわかりません。他にも、上記を乗り越えられる方法があれば各自で乗り越えて頂ければ幸いです