【提言】これからの競馬予想の潮流は「総合馬券術」になる


 たまに私が発する「総合馬券術」という言葉について、ここに記しておきたいと思います。以下の文章は私がサービスサイト(PRET)で作成中の予想理論の冒頭文ですが、有料化の目処がたたない現状から、一部を世に問うことにしました。

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「今の必勝法に関する出版物にほとんど共通していることがある。そもそも競馬で勝ちたいのは、一日で一財産築くためだし、そのために簡単で負担のかからない方法を探し求めているというコンセプトのもとに作られているのだ。
(中略)だが、結局のところ、複雑きわまる競馬予想に抜け道なんてないのだ。勝ちたいと思えば、まともにその複雑さに取り組まなければならない」(『勝ち馬を探せ!!』アンドリュー・ベイヤー)


 予想には様々な理論があり、書店の競馬コーナーを賑わせています。
 スピード指数、血統、オッズ、出目、サイン、騎手、厩舎、コース、枠順、調教など、色々思い出されます。それらの本は、それぞれのジャンルに沿った視点で、ここだけ見れば馬券は簡単に当たる、儲かる、と書かれ、宣伝されているものが多かったと思います。
 ベイヤー氏が1970年代に米国で記したことは、日本においてもまた同様でした。つい最近までは。

 ここ数年、予想者たちがブログ等により容易に情報発信できるようになった、あるいはJRAレーシングビュアーやTARGET等のインフラが整ってきた環境により競馬予想の研究が進み、少々変化が見られるようになってきました。

 ひとつは、真の能力ベースでオッズが構成されることが多くなったことです。以前は、前走に不利があった馬など、馬柱は良く見えないけれど能力は高いという馬が、その情報の見た目で人気を落とすことが多かったのですが、最近はそういった面まで加味され、極端に人気薄になってくれることは少なくなりました。

 また、もう一点として、例えば亀谷氏は血統、棟広氏は馬場、半笑い氏はラップというような予想技術を持った方が、その予想技術を看板としつつも、それだけではなく様々なジャンルのツールを併用して実績を出している(様々な予想要素が、それぞれ効用があると主張する)ということが増えてきたように思います。未だに、あるジャンルに特化した攻略本は多いのですが、それは編集者側の意図であって、攻略法を開発した予想者はそのジャンルだけで予想をしていないという印象です。

 実際、ある程度の精度を持つ予想を行えるようになればわかることですが、あるレースの結果(勝因・敗因)を回顧する時に必要となる知識は、多岐のジャンル(能力、適性、血統、馬場、展開、騎手など)に亘ります。あるジャンルのみの視点で予想をしていくと、他の予想要素が敗因と感じるという壁に向き合わなければなりません。精度の高い予想を目指せば、いずれ各種ジャンルの予想要素を完全に無視するわけにはいかなくなるのです。

 各予想者によって、どのジャンルの要素に比重をおくか、どの程度の運用をしていくかに個性はあって当然ですが、今後は、様々な予想要素があるということとどう向き合うか、そしてそれらのうち技術に関係する部分があることを前提として、どのような予想要素が効果的なのか、どのくらい効果的なのか、どのように必要な部分を自分の予想に取り込んでいくか、という知恵・ノウハウが必要となってきていると考えます。

 このような予想理論を私は大きな括りとして「総合馬券術」と呼んでいて、これからは総合馬券術への考え方が競馬予想のテーマとなると考えています。

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 私が独自に鍛え上げている予想理論は「進歩的予想理論(PRET)」と呼んでおり、それは「総合馬券術」の流れを汲むひとつの理論と位置づけています。

 自分はこの予想要素しかないんだ、という方もいるとは思いますが、色々な予想要素を加味されて予想理論を築いていらっしゃる方々は多くなっていると考えられますので、これからの予想方法の潮流を示す言葉として、世に送り出してみたいと思っています。

(PRET・H20.4.1)